18禁サイトです。18歳未満の方は閲覧出来ません。まずは完全無料作品からどうぞ(10作以上有)。
先日の販売停止措置について、amazonからの回答がありました。しかしその内容は、再販売できないことと、何がコンテンツガイドライン違反にあたるかには答えられず、どのよう修正を施せば取り扱えるかにさえ答えられないということ、……要するに、何にも回答していないも同然の回答しか送られてきませんでした。

他の人の事例も聞いていたので、KDPはこのような対応しかしないのだと知ってはいましたが、排除するにしてもやり方があるだろうとは思いました。amazonからのメールの末尾には「Amazon.co.jp は、お客様からのご意見により、地球上で最もお客様を大切にする会社を目指しています」とあるのですが、こんなことでは皮肉にもなりません。他の作品の扱いがどうなるのかは不明なのですが、時間の問題と思っておいたほうが良さそうです。

トランプ大統領が最初に入国禁止令を出した時、米IT企業の重要人物は揃ってそれに反対を表明し、その中にはamazonのCEOも含まれていました。その事自体についてここでコメントするつもりはありませんが、……しかし、平等を謳う裏で、特定の書籍を恣意的に排除するのであれば、平等はもっと醜いものの隠れ蓑でしかないと私は思います。

さて、私事ではありますが、先日の記事を上げたあと、知り合いと相談し、そのつてを頼って別の仕事をすることになりました。そしてこのハンドルネームでの活動も一時休止することに決めました。あれから色々考えた結果、一度この活動を離れて、仕切り直すほうが良いという結論に至ったためです。別のサイトに移って続けても良いのですが、電子官能小説の市場規模の小ささは個人の力ではいかんともしがたく、そのうえ「修正」まで求められるとなれば、あまり希望が持てません。今回と同じようなことが再び起こらないとも限りません。かといって、こんなきっかけで修正を受けないような作風に変えるのも癪なことですし、自分のサイトを作って上げても収入源になりません(収入にできなければ注力もできません)。他ジャンルへの進出は、あくまで作風を広げるためのものであり、リスクの高い作風を切り捨てるつもりはありませんでした。

活動も三周年ですし、考え方をリセットする丁度良い節目なのでしょう。amazonからの返答で未練もなくなって、安定した活動拠点がなくなったわりに、なぜか気分が高揚しています。思えば、最初に活動を始めた頃は、何が起こるかわからない上がり調子の冒険でしたが、いつの間にか平凡な日常のただの仕事になっていました。はっきりとは書かないようにしていましたが、私はもうこの活動に飽きていたのかもしれません。事情が許せば戻ってくるつもりですが、そのときは異なるスタイルで活動することになるでしょう。

文章の勉強は個人的に進めます。趣味としてブログの更新などをすることもあるかと思いますが、当分のあいだは休眠です。三年間のご愛顧、本当にありがとうございました。


★今後の作品の扱いなどについて
とりあえずこのブログは残しておくつもりですし、残された作品の販売も私からは止めません。回答してくれなかったので基準が分からないのですが、amazonが販売を停止することは十分ありうるので、読みたい人は早めに読んでおいて下さい。全部が販売停止されたとしても、いずれは何らかの形で再公開するつもりでいますが、別のことに注力する予定なので、暫くは対応出来ないと思います。また、完全に追い出されるまでは、月二回の無料配布を続けるつもりなので、拾いたい人は拾っていって下さい。

「私達を撮らないで」は制作中断ということになりますが、それぞれの巻は一応独立していましたし、中途半端なところで終わっていたわけでもないので、大目に見ていただけたらと思います(復帰することがあれば続きを書くつもりですが)。

せっかくなので、予定していた全体像について書きます。何人かの少女の話が続いたあとエピローグ編に入り、無限にコピーされる陵辱の映像のイメージと、陵辱を乗り越えたり更なる泥沼に陥ったりする少女達のその後を対照させて点描しつつ、六年生に進学した第一巻の女の子と少年の恋愛を描くという構成になる予定でした。一つ一つの出来事に注目する官能小説の枠組みを超えて、エロ小説としての機能を保持したまま、少女のそれ以前・その後という個人史や、社会の環境や反応、現代の技術などを、総合的に捉えて複雑なエロティシズムを目指したいと思っていました。

構想通り書き得たかどうか、上手く仕上げられたのかどうか、書ききったとして受けたのかどうかは分かりません。こういうことをやりだすこと自体、今まで通りの官能小説を書くことに、飽きと限界を感じていた証拠なのかもしれません。
まずは事実からお伝えします。以下の作品の販売がamazonによって停止されました。二年半ほどKDPにいましたが、このようなことは初めてです。内部で方針転換があったのかもしれません。

・JS義妹妊娠 私達の赤ちゃんがお腹の中で動いてる(1) 黒髪の少女は男根に魅入られ未熟な性器でお兄ちゃんと繋がった (ID:6850400)
・JS義妹妊娠 私達の赤ちゃんがお腹の中で動いてる(4) 妹のお腹が胎動を始め学校の教室でママになる日がやってきた (ID:7600241)


今までも、アダルト漫画などに対して、販売停止措置がなされる例がありましたが……、挿絵のない文章作品に対して、(おそらく)内容自体が問題にされて規制、というのは珍しいのではないでしょうか(初?)。なお、これらは、一年以上販売されていたものであり、販売審査にも問題なく通っていた作品でした。

これ以外の作品がどのような扱いになっていくかは分かりません。しかし、少なくとも、これらの作品の販売停止措置が撤回されない限り、小さい子系の新作をKDP(amazon)で販売するのは困難です。先ほどこの措置に対する質問と撤回依頼を含めた問い合わせのメールを送信しましたが、今までの例から言って誠実な回答は期待できないと思っています。

私がKDPを離れなかったのは、他のアダルト系販売サイトと異なり、文字に対する検閲行為を行わないという点に魅力があったからでもあります。もちろんamazonの販売力も魅力的ではありましたが、アダルト作品に関する販売力はそれほど強くありませんし、アダルトサイトを締めだしたアフィリエイト規約・検索結果の表示制限・全体の販売ランキングには載らないなど、不遇な点も少なくありません。それでも信頼があったから、一本槍でやってきました。その信頼は今回の件で完全に崩れました。本家米国のKDPでは文字によるものを含めて様々な性表現が規制されていましたが、他方私の作品はすべて通して頂いていたので、日本KDPは日本流でやっていくのだと一応信頼していたのですが、どうやら私の思い込みに過ぎなかったようです。

私の作品は確かにインモラルではありますが、結局のところ妄想を元にした誰も傷つかない文字列に過ぎませんし、これらを読んで想像したことはどんなに背徳的でも想像=脳内現象に過ぎません。しかし現実の表現に対する制限は、生身の人間の精神に対する束縛ですし、少数派に限って向けられるのであれば、言い訳の出来ない暴力です。ある民族に根ざした作品・ある思想宗教に基づく作品・同性愛作品の排除といったように、別のものに置き換えてみれば、この暴力の意味がよりはっきりとするでしょう。性表現だから例外という理屈はありませんし、簡単に例外を作るのであれば、寛容も配慮も偽善にすぎません。……まあ、それ以前の話として、多様なエロ小説を期待してKUに入った顧客に対する背信行為ですし、一度OKと言ったものをなんの事前説明もなしに排除するのはどうかと思いますが。

これからKDPに参入される方や、今まさにKDPで活動されている方は、今回の例を念頭に置いておくべきでしょう。KDPのコンテンツガイドラインは非常に曖昧な記述になっていて、自主規制担当の社員が振った首の方向次第で、昨日まで許されていたコンテンツが削除されるということがありえるわけです。一企業の判断に過ぎないので、異議申し立ての機会も保証されてはいません。もちろん、非常に穏当で、なんの自己弁護もなく社会に受け入れられる類の作品であれば、KDPが排除することはないでしょう。しかし例えば性表現や暴力表現とか、既存の社会規範に対して挑戦的な作品とか、インモラルな喜びを組み込んだような作品は、排除される可能性を念頭に置くべきです。今回の件はその一例です。漫画等に関してはより強い制限がありますし、KUが始まったばかりのときのように、経済的な理由から出版社の作品が大量に排除されるという事件もありました。

今までの歴史の中で、文章表現は常に規制と隣合わせの存在でした。近現代になってからも規制の歴史は続いていましたし、今では高い名声を誇る小説家でも検閲を食らったり出版社に販売を拒否されたりしていました(サドもフロベールもジョイスもナボコフもと、挙げればきりがないほど)。もちろん私は、そうした人々とは、比べられない程度の小人物に過ぎませんが、だからこそ余計に暗澹とした気持ちになります。全く影響力のない人間の作品でさえ、別に荒れてもないのに先回り先回りで自主規制するとすれば、よりパワーのある書き手が周縁分野に現れたとき、どのような扱いを受けるのでしょう。

行政による文章の性表現規制は、1970年代を最後に事実上なくなり、法規制反対のメインフィールドは漫画・アニメ・ゲームといったものに移りました。しかし、現代のように、巨大企業が生活と表現の場を握るような世界では、自主規制担当者の理解一つで創作者と消費者の自由が簡単に取り上げられてしまうし、文章作品だけが例外ないし権威ではいられないということなのでしょう。落胆するばかりです。


★これからについて
メールの返信と対応次第で、身の振り方を考えることになろうかと思います。おそらく、小さい子系作品に関しては、修正なり挿絵追加なりの作業をしたうえで、別の販売サイトに活路を見出すことになるかと思います。Entyのような月額制サイトも検討したいです。どちらにせよ、それなりに、準備や計画が必要になりそうです。

小さい子系以外の作品に関しては、とりあえずKDPを使っていくことになるかと思いますが(慣れてるし楽なので)、別の販売サイトでの活動が順調になれば、KDP撤退も視野に入れます。昨日まではKDPを応援していく気持ちも一応あったのですが、今回の件でがっかりしたので、これからは是々非々でサービスを使っていくという態度でいきたいと思います。

いずれこういうこともあるかもしれないとは思っていたので、想定していたよりは冷静な自分もいます。一応蓄えなどもあるので、今後もめげずに実力の養成と執筆活動に取り組んでいきたいと思います。小説はどちらかといえば経済的な成果が出しづらい領域ではありますが、どうしても駄目だという状況になるまでは頑張りたいと思っているので、ご迷惑等をおかけすることもあるかもしれませんが、今後とも宜しくお願いいたします。
(※伏せ字はFC2ブログのNGワードによるものです。販売中の作品に伏せ字等はありません)

――後輩の指が、唇が、先輩の首と唇に触れ、蕩けるような快感に心奪われ濡れた性器が、吸われ、舐められ、擦られて、彼女は歓喜の吐息を漏らす。

【作品概要】
瑠花、るか、あの子の名前。なめらかな?と桜の唇。母性をくすぐる大きな瞳。懐に入る気さくな性格。首から下が綺麗な丸みを帯びていて、目を逸らすには甘すぎる女の色香を匂わせている。時折覗く胸元がゾクリとするほど艶めかしくて、あの子に見上げられるたび、美波は濡れて疼くのだった。今年の新入社員「伏島瑠花(22)」は、「迎田美波(25)」が指導する愛おしい後輩である。美波は瑠花を優しさの中で教育し、休日は一緒に映画を見るなどプライベートも共にしていた。だが、美波は、そこから先に踏み込めない。拒絶されることが怖くて、関係が崩れることが怖くて。……しかしある日、バーでお酒を飲んだあと、火照って顔を赤らめた瑠花が、美波の身体に抱きついてくる。後輩の指が、唇が、美波の首と唇に触れ、蕩けるような快感に彼女は心を奪われていた。柔らかな身体と身体が重なり合って混ざり合う。鼻と首、口と胸、指と陰核、足と肉裂。愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら溺れるふたりのからだのはなし。(小説本文の文字数:約58000字)

百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)
百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)

★★★

「だから、呼んでくれたんですよね?」
「えっ、あ……、どうして、いきなり……、何の、ことだか……」
「レズビアンなんでしょう……?」
「ち、ちが」

指が顎に触れる。

「バレバレなのに、ごまかして欲しくないですね……」
「そんな、ごまかしなんて……」
「でも、抱きついたら、嬉しそうにしてたじゃないですか。……私のことを見抜いて、誘ってくれたんじゃないんですか?」

重ねて反射的に否定しかけて硬直した。瑠花の目つきがいつもと違う。まるで、獲物に焦らされて、濡れてしまったメスのそれ。性欲が薄く、男性社員の誘いに乗らない……、そんな瑠花のイメージを反転させる表情だった。なにか勘違いをさせてしまったようなのだが、その勘違いもあながち勘違いとは言い切れなかった。瑠花は身体を寄せてきて、美波は軽く後ずさりする。壁があった。壁際に追い詰められた。……身体が小さな後輩を突き飛ばすのは簡単だろう。本気で嫌がればすぐに止めてくれるだろう。美波が本気で逃げなかったのは、粘膜が更に熱く汁を垂らしていたからである。

「あ、やっ、そ、そんな、つもりじゃ……」
「でも、私、我慢できません……」
「伏島、さんっ……!」

腕が、指が、絡みついてくる。突然のことで頭が全く回らない。

「女の人、好きなんですよね……? 間違ってないですよね?」
「……な、なんで」

美波が言う。

「なんで、分かったの……?」
「先輩って、たまに、私のおっぱい見てますし……、今日だって、すごく動揺してましたよね。……やっと、確信出来ました。あの、誘ったっていうのが、間違いなら、謝ります。……それでも、先輩、私のこと、抱いてくれませんか? 私、わたし……!」

見透かされていたのだ。私はいつもそうなのだ。事が性愛に及んでしまうと、何もかもが下手になる。美波の瞳が潤む。興奮と、混乱で、涙が零れそうになっている。赤い唇が呼吸を繰り返し、指がぎゅっと握られて、視線を合わせられなくて、女性器がひどく濡れていて……。このまま、触られたら、変な声が出ると思った。けだものになった後輩が、潤んだ瞳で見上げながら密着してくる。

「……だって、寂しいんです。一人きりで越してきて、友達も家族も、恋人もいなくて。特に恋人なんて、会社の中だと作れませんし。……先輩なら分かりますよね」
「はぁ、はぁ……」

この子も、レズビアン? 本当に? からかわれているだけなのか、それとも、本当に……、でも、抱くだなんて。私に抱けるわけがない。瑠花の柔らかな指先が、美波のスーツの腰に回る。タイトスカートの上から腰を撫でられて、きゅっとしつつも柔らかいお尻にも手が伸びてくるが、嫌悪感は全くなく、あるのは快感だけだった。嫌がらないので、愛撫がますます露骨になった。

「ぁ……」
「嫌、じゃないんですよね……?」
「う、あ、はぁ、はぁ……」
「遊びのつもりじゃないんですよ。私は、先輩だから、抱いて欲しかったんです。……こう言うと、気恥ずかしいですけど。私も私なりに、色々なことを考えて……」
「わ、私ね……」

瑠花の手が止まる。美波は声を震わせて言った。

「実は……、経験が、ないのよ……」

口にするだけで、死にたくなるほど恥ずかしかった。瑠花の手つきは明らかに慣れている。ひどく怖気づいてしまった。

「どういうことですか?」
「あなたの言うとおり、私は根っからのレズビアンだけれど、でも、私は……、処女、なの……、キスも、一度しか……、女性を誘うなんて、とてもじゃないけど、できなくて……、だから、その、私は、あなたが期待するような人間じゃあ……」

そして、そこまで言って、止まってしまった。何言ってんだろ、年下の子に……。情けない。恥ずかしい。失望されたかもしれない。しかし、瑠花は、怯えたような美波を見て、極上の獲物を見つけたような顔をして、首に腕を回すのだった。そして美波が迫る顔に驚いた瞬間、美波の赤い唇に桜色の唇が押し付けられた。

「んッ……!?」
「んふ、んうぅ……」

カクテルの匂い。カクテルの味。舌が唇をノックしたので、抗いきれず美波は唇を開き、舌と舌が絡み合い、柔らかく熱いその味で美波の腰がビクッと震えた。唇が吸い付きあい、舌が互いを求めあう。鼻息が混ざりあう。美味しい。気持ちいい。激しく興奮するあまり、ふたりの口の端から熱い唾液が漏れてくる。ショーツの股間部がぐっしょりと濡れ始め、25年、願い続けた、自分以外の女の子の身体という、……この世で最も強力な媚薬が、美波の心を麻薬的に虜にしていた。抱きつかれている。瑠花の指が背中を舐める。胸が強く押し付けられて、髪の毛のあいだから、瑠花の匂いが……、美波は、震える手で、小柄な後輩の柔らかな身体を抱きしめた。無理矢理感はそこになく、どこかで瑠花を恐れていた美波の方も、後輩に負けないぐらい、相手の身体を求めていた。瑠花の誘惑が受け入れられた証だった。交尾が成立したのである。

ふたりはヒトだ。人間のメスなのだ。人間のメスは、他の生物のメスよりも、長く強い性欲と性快楽を持つという。セックスの快感を与えあい、出来るだけ長くつがいを維持して、極めて長い子育て期間を乗り切る仕組みがあるのだという。レズビアンであるふたりにも、そんな機能が備わっていた。性欲と愛欲が重なると、たまらなくて、止まらなかった。唇が離れる。美波は取り残されている。そして瑠花は不意をつき、ちゅっちゅと頬や顎のあたりにキスをして、いたずらっぽく脇腹に触れ、汗ばんだ美波の首筋に吸い付いた。艶めかしい舌の感触が、首のラインを滑り降りていく。同時に指が美波の胸を揉んでいた。ブラジャーの中で乳首が勃った。

「あ、あ……」
「可愛い、先輩……、処女なんて、全然いいですよ……!」

知らないことをされている。全く知り得なかったこと。むらむらが限界に達した時に見ていたような、レズビアンセックスの動画に迷い込んでしまったかのようだった。あるいは官能小説や、少しハードな百合漫画。繰り返してきた妄想が、現実世界に染み出した。喘ぐ。喘ぐ。口を閉じようとする。鼻息がすんすん荒くなり、呼吸が苦しくなって、すぐに我慢の限界が来て、切ない声が口から漏れた。

「はぁ、はぁ、伏島、さんっ……!」
「下の名前で呼んでください……。じゃないと、やめますよ」

ぽたりと、股間部から、粘りながら蜜が落ちた。下着とストッキングを超えて、濃厚な愛液が溢れて落ちて、フローリングを一滴二滴とわずかばかり汚したのだ。本気に、させられた。

「る、か、あッ……」
「なんですか、美波先輩?」
「はぁ、はぁ、きもち、いい……、あっ、あぁぁ……」
「初めての割に敏感ですね。……それとも、オナニーで、自己開発してましたか? こんなに綺麗なのに、もったいない……。セックスが嫌いって感じでもないのに」

ひとつ、ひとつ、スーツのボタンが外されていく。

「先輩が処女なんて意外でした。真面目な人だとは思ってましたけど。会社だと、凛々しくて、あんなにかっこいいのに……」

瑠花のふとももが美波の股に割り込んで、ストッキングの上から熱いヴァギナが刺激される。ぬちぬちと淫らな音が生み出され、美波の膣がきゅっとする。頬のラインに汗が流れ、頬の赤みが増していく。女と女の柔らかな脂肪がスーツ越しに絡みあう。

「……今は、可愛いです。……先輩っ」
「はぁっ、はぁっ……!」
「全部教えてあげますね。……いつもの、お礼です」

後輩は、いつのまにか、普段の瑠花ではなくなっていた。先輩が、いつものような、迎田美波でないように。人間の内側にはまとめきれない様々な人格があるようだ。会社での彼女、知り合いの前での彼女、両親の前での彼女、きょうだいの前での彼女、そして抑えられていた、ホモ・サピエンスのメスとしての美波と瑠花。最も美しく魅惑的でありながら、服の中に抑圧されている人格。ふたりの「おまんこ」が、濡れて香って誘いだす。

私はいつも、彼女に仕事を教えながら、香水の匂いに惑わされ幸せな気分に浸っていた。しかし私は我慢した。瑠花の綺麗な首筋にキスができたらどんなに幸せだろうかと妄想したが、その欲望を打ち明けて、嫌悪感をもたれたら耐えられないと悩んでいた。本当なエッチなこともしたい。殆どの女性は、私を理解してくれない。また、あの昼下がりを思い出す。この子はきっとノンケであって、私にはなびかない。そう思っておいたほうが、心が楽だと思っていた。そばにいるだけで幸せなんて、そんなこと、ありえないのに。
(※伏せ字はFC2ブログのNGワードによるものです。販売中の作品に伏せ字等はありません)

――後輩の指が、唇が、先輩の首と唇に触れ、蕩けるような快感に心奪われ濡れた性器が、吸われ、舐められ、擦られて、彼女は歓喜の吐息を漏らす。

【作品概要】
瑠花、るか、あの子の名前。なめらかな?と桜の唇。母性をくすぐる大きな瞳。懐に入る気さくな性格。首から下が綺麗な丸みを帯びていて、目を逸らすには甘すぎる女の色香を匂わせている。時折覗く胸元がゾクリとするほど艶めかしくて、あの子に見上げられるたび、美波は濡れて疼くのだった。今年の新入社員「伏島瑠花(22)」は、「迎田美波(25)」が指導する愛おしい後輩である。美波は瑠花を優しさの中で教育し、休日は一緒に映画を見るなどプライベートも共にしていた。だが、美波は、そこから先に踏み込めない。拒絶されることが怖くて、関係が崩れることが怖くて。……しかしある日、バーでお酒を飲んだあと、火照って顔を赤らめた瑠花が、美波の身体に抱きついてくる。後輩の指が、唇が、美波の首と唇に触れ、蕩けるような快感に彼女は心を奪われていた。柔らかな身体と身体が重なり合って混ざり合う。鼻と首、口と胸、指と陰核、足と肉裂。愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら溺れるふたりのからだのはなし。(小説本文の文字数:約58000字)

百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)
百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)

★★★

「一人で帰れる?」
「んんと……、たぶん……」
「多分って……、多分じゃ心配ね……」

瑠花は祖父が所有するタワーマンションの一室を貸してもらって生活している。防犯設備はかなりのものだが、帰宅には少々時間がかかる立地であるため、トラブルの心配は美波の胸に募るばかりだ。泥酔というほどではないが、身体がふわふわふらついており、一人きりで帰したあと怪我でもしないか不安になった。杞憂かもしれないが、犯罪に巻き込まれる可能性も捨てられない。こんなに可愛らしい女性が注意力を失って夜道をふらふらしていたら。それも、こんな風に、良い匂いをさせながら。美波は水を注文し、瑠花の口に飲ませてやる。……要するに、それだけ、美波は瑠花を気にかけていた。瑠花が春に入社して、美波が先輩として指導に当たるようになってから、瑠花よりも大事なものが一つもなくなってしまった。この子は私を先輩としか思ってないのに。部署が変われば疎遠になるかもしれない程度の関係なのに。

「伏島さん、うちに泊まる?」
「んー……?」
「タクシーを使えばそんなに時間もかからないから」

瑠花の肩がぴくっとする。

「……えっ。先輩の家。いいんですか?」
「どうせ明日は休みだし、たまにはいいんじゃない」

瑠花は両目をぱちくりさせて、少し笑ったような気がして、ただ素直に頷くことで美波の家に行くことに同意した。

「先輩の、家……」

瑠花が噛みしめるように呟いている。バッグを取り、会計を済ませ、瑠花に肩を貸しながら、バーの出口に歩いていった。ドアノブをひねり、扉を押し開けていくと、カランカランとドアチャイムが鳴り響き、冷たい空気がやってきた。火照った身体がわずかばかり冷やされた。バーの前は人通りが少なくない夜の街路で、店や街灯の黄色や白の照明で星の光がかき消されていた。しかし真珠のように浮かんでいる月だけは、常に変わらず、夜の空を登っていた。雑踏のざわめき。瑠花の身体がぶるっと震える。

「ちょっと、寒いですね……」
「もうすぐ冬だから、寒くなってきてるのね」

そう言って美波が瑠花を見ると、酒のせいか、あるいは何かのせいなのか、瑠花の瞳が熱を帯びて潤っていた。その瞳を見たせいで、美波は寒さを感じなかった。吸い込まれる眼差し。もうひとつの月なのだ。黒い瞳が挑発的だ。大きな胸も、甘い匂いも。しかし美波は狼になるつもりはなく、綺麗な月を眺めるだけで満足なのだと決めていた。瑠花が美波の顔を見上げる。

「でも、ふたりだと、少しだけあったかいです……」

美波は何も返せなかった。ふたりはタクシー乗り場へと足を進める。隣の瑠花に、心臓の音が漏れていないか、不安になるほど鼓動が速くなっていた。

「……私、美波先輩が先輩で良かったです。他の人は、こんなに優しくしてくれないので……」
「まさか。伏島さんなら、誰でも優しくしてくれるよ……。たまたま、縁に恵まれてないだけで」

瑠花は美人だ。相手ならいくらでもいるだろう。この子もいつか、誰かと結婚するのだろうか。男性に恋をして、男性の子供を産むのだろうか。夜空を見ると落ち着いた。落ち着かないといけなかった。今の関係だって全く悪くないのだから。幸せなことだ。可愛い後輩に慕われているなんて。どれだけの女性が、どれだけの男性が、部下との関係で苦労しているかを思えば。……先輩と後輩で、友達のような関係でいい。また、前みたいに、映画でも見に行って、デート気分を味わえたらいいなと思った。タクシー乗り場は思いのほか空いていて、停車していたタクシーにすぐに乗り込むことが出来た。美波と瑠花は後部座席で密着していた。

身を寄せ合った10分間、美波の身体はどんどん熱くなっていた。いけない、いけないと、何度も思っていたのだが、ヒトの自然な性欲は抑えることが出来なかった。美波は軽く汗ばんでいた。粘膜のあいだには、愛液が滲んでいたかもしれない。肌色のストッキングに包まれていた足が蒸れていた。子宮が瑠花を欲望していた。

同じ部署に瑠花が配属されたときから、美波は瑠花を可愛いと思っていた。歓迎の飲み会でも意気投合していたのだ。童顔な輪郭も、小柄な身体も、心の懐に潜り込んでくるような気さくな性格も、可愛かった。……本音を言えば、お尻や胸も、柔らかそうで情欲をそそられた。周りの男性社員もそう思っていたようで、アプローチをかけられているところを何度も何度も見ていたが、苦手なのか、興味がないのか、誰の誘いも受けてはいないようだった。性や恋愛の欲求が少ないのだろうと心の中で結論していた。ヒトの欲望は個人差が大きいのである。あるいは、無理にでも、そう考えて、自分の心を抑えなければならなかった。期待なんてしてはいけない。期待は失望の母親だから。甘い果実ほど手に入らないものなのだ。

いつのまにか、美波が住む賃貸マンションについていた。建築から30年の独身者向け住宅である。五階建ての平凡な作りであり、茶色い壁は細かい汚れを隠していたが、落ち着きすぎた色合いが昭和の香りを纏っている。美波よりも、瑠花よりも、年上の建物だ。エレベーターは存在せず、設置する費用もない。

タクシーの代金を支払うと、最初に美波が降車して、次に瑠花が道路に降りた。美波は肩を貸そうとしたが、瑠花はそれを断った。だんだん酔いが覚めてきて、足取りも前よりしっかりしていた。

「本当に大丈夫?」

美波は重ねて尋ねていた。

「なんとか……。飲ませてもらった水が効いてきたのかもしれません」
「……そう。それならいいけど。階段があるから、転ばないようにね。私の部屋は3階だから。……ここ、無いのよね、エレベーター。家賃は悪くないんだけど」

美波は瑠花を先導し、マンション自体の入口を抜けて、入口付近の階段にまでやってくる。先ほどの興奮でショーツがしっとり濡れていたので、変な匂いでもしていないか美波は不安で仕方なかった。これはもう、我慢の限度を超えている。瑠花がベッドで眠りについたら、自分で処理しないといけないかもしれない。

「手すりもないんですね」
「気をつけて」

マンションの階段を一段一段登っていく。今度は瑠花が先頭で、美波は後ろで見守っていた。後方への転倒などの万が一を考えていたのだが、瑠花はスムーズに階段を登っていて、つまずく気配は全くない。美波が抱いた瑠花に対する心配は、結局杞憂だったのだろう。もちろん、だからといって、自宅に招いたことを後悔するはずもないのだが。3階に到着すると、美波は再び瑠花に対して先行し、305号室にまでやってきて、ポケットの中の財布から自宅のキーを取り出した。鍵を開けて扉を開いた。真っ暗な美波の自室。美波が先に入り、瑠花が続いて、そのまま鍵とドアガードをかけていた。そして熱っぽい声で、瑠花が美波に言葉を漏らす。

「ねぇ、先輩……」
「どうしたの?」
「私、もう、熱くて……、先輩に、呼ばれてから……」
「……?」

美波は壁を探っていた。真っ暗な部屋に光を取り戻すため、蛍光灯のスイッチを探しているのである。スイッチを押すと、狭い玄関が明るくなり、短い廊下の向こうにある美波の自室がぼんやり見えた。美波は靴を脱ぎ、ストッキングを履いた足でフローリングの廊下に立ち、靴を脱いだばかりであろう瑠花の方に視線を向けるが、……頬を真っ赤に染めた瑠花は、別の酔いに脳が支配されていた。妖艶な目つきで美波を見ながら、美波の頬にそっと触れ、吐息を含んだメスの声で囁くように言うのである。

「先輩の肌、あったかい……。ねえ、もう、いいですよね……?」
「伏島、さん……? 本当にどうしたの……?」
「だって、そういう意味で、誘ったんじゃないんですか?」
「……?」
「……先輩って、……女の子のほうが、好きですよね?」

ぞくっとした。そしてそれは、寒気というより快感だった。
(※伏せ字はFC2ブログのNGワードによるものです。販売中の作品に伏せ字等はありません)

――後輩の指が、唇が、先輩の首と唇に触れ、蕩けるような快感に心奪われ濡れた性器が、吸われ、舐められ、擦られて、彼女は歓喜の吐息を漏らす。

【作品概要】
瑠花、るか、あの子の名前。なめらかな?と桜の唇。母性をくすぐる大きな瞳。懐に入る気さくな性格。首から下が綺麗な丸みを帯びていて、目を逸らすには甘すぎる女の色香を匂わせている。時折覗く胸元がゾクリとするほど艶めかしくて、あの子に見上げられるたび、美波は濡れて疼くのだった。今年の新入社員「伏島瑠花(22)」は、「迎田美波(25)」が指導する愛おしい後輩である。美波は瑠花を優しさの中で教育し、休日は一緒に映画を見るなどプライベートも共にしていた。だが、美波は、そこから先に踏み込めない。拒絶されることが怖くて、関係が崩れることが怖くて。……しかしある日、バーでお酒を飲んだあと、火照って顔を赤らめた瑠花が、美波の身体に抱きついてくる。後輩の指が、唇が、美波の首と唇に触れ、蕩けるような快感に彼女は心を奪われていた。柔らかな身体と身体が重なり合って混ざり合う。鼻と首、口と胸、指と陰核、足と肉裂。愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら溺れるふたりのからだのはなし。(小説本文の文字数:約58000字)

百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)
百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)

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【第1章:傾きかけた月の夜】
授業終了のチャイムが鳴ると、迎田美波は早足でバッグも取らずに廊下に向かった。期待なんてしてはいけない。期待は失望の母親だから。他のクラスは既に授業を終えていて、同級生の賑やかな声達が混ざりながら耳の左右を抜けていく。しかし、どんな声も、全く耳に入らなかった。黒く美しいショートヘアが流れて揺れて、期待と不安と興奮が汗に溜まって雫となり、ひとつぶ、またひとつぶと、日焼けた頬に垂れていた。真っ白なハイソックスに守られた足が交互に歩み、歩速がぐんぐん高まって、心臓の鼓動が高鳴るとともに、彼女は赤くなっていた。彼女はいつもの迎田美波じゃなくなっていた。17歳の、熱を帯びた肉体だった。

部活によって引き締まった肉体美を備えた足は、紺のスカートに覆われつつも、歩くたびに素肌が見える。上履きが廊下を踏み、大勢の足音に小さな音をいくつも混ぜて、ベージュの制服セーターに包まれているその腕で駄弁る人混みを何度も何度もかき分けて、階段を下る生徒に逆らい、わずかに呼吸を早めつつ、美波は一段また一段と第二校舎の屋上に半ば駆けていくのであった。一段、二段、三段と、階段を登るたびに、下校する生徒達の話し声が遠くなり、美波が歩く速度もだんだんと落ち着いて、それなのに呼吸が次第に荒くなってくる。誰もいない屋上間近の踊り場にまでたどり着くと、ゼンマイが切れたかのように美波の足が固まった。

ふとももに汗が流れている。下着がお尻に張り付いている。黄ばんだ床のタイルの上で、すらりとした足で立ち尽くし、ハンカチで額の汗を拭き、上方に立ちはだかる屋上の扉に目を向けた。凛として美しい美波の顔が緊張のあまり紅潮していて、迷子になったかのように瞳がひどく潤っていて、二重まぶたの長いまつげが透明色の涙を含み、赤い唇のあいだから時折息を吐いていた。大切な日のために奮発したリップグロスで、美波の口元が美味しそうに艶めいている。整った鼻が、すっと辺りの空気を吸った。

先ほどまでうるさかった生徒達の話し声は、すでに鼓膜をくすぐる程度に弱まっている。屋上は誰にも邪魔されない場所だった。期待なんてしてはいけない。期待は失望の母親だから。息が漏れた。生唾が喉を通った。手のひらが濡れてきたので、ポケットの中のハンカチを握りしめた。ソフトボールの大会でバットを握った時だって、私の手のひらは、これほどまでには濡れてなかった。セーターの中のシャツが汗ばんでいて張り付いていて、ブラジャーもショーツも汗によって湿っている。身じろぎした。胸元の赤いリボンがかすかに揺れた。大きな瞳が揺れて迷い、汗ばんだ指が震えてて、階段の手すりをそっと握って、一段、もう一段、屋上へと登っていく。

あの子が、もし、本当に、あの子が先に来ていれば、屋上の扉の鍵は開いているはずだった。美波は階段を登りきり、呼吸を置いて、ドアノブを優しく回す。鍵がかかっていなかったので、中学からの親友が先に来ていると分かった。震える腕で扉を開ける。わずかな段差をそっとまたいだ。下着の汗に愛液が混ざり始めていたかもしれない。上靴の裏側が屋上の床を踏みしめた。

欄干の向こうには青空が敷かれていた。崩れて散らばる巻積雲が青に重なり薄く広がり、その下に立っているロングヘアーの女の子が、屋上のコンクリートに影を長く引いていた。制服のスカートと、彼女の毛先が揺れている。美波と同じ服を着て、同じ学年に所属している女の子。おそるおそるといった動きで美波が扉の外に出ると、背後の扉が自然に閉まり、人為的なその音でロングの女性が振り返る。茶色の、ふわふわの、良い香りのその髪が、秋の空気に誘われてわずかに東に流れていた。罪づくりなほど可愛らしい小柄な彼女のその顔が、困ったように、恥じらうように、破顔したので子宮が疼いた。美波は身体が熱くなるのを感じていた。ほのか。名前が、甘い名前が、神経細胞の愛欲を刺激する。

白い上履き、白いソックス、紺のスカート、ベージュのセーター、白いシャツ、赤いリボン、同じ制服を着ているのに、美波と彼女の美しさは全く異なる。美波の肌は日焼けしていて、彼女の肌は真っ白だ。引き締まってスレンダーな美波に対し、彼女の身体は胸が大きくボディラインが柔らかい。凛として大人びた美波の顔立ちに対し、大きな目元と小鼻が彩るあどけない彼女の目鼻立ち。美波の黒いショートと、彼女の茶色いロングヘアー。背が高い美波と、小さな彼女。同い年の女の子であるというのに、美波と彼女は異なる魅力を持っていた。美波はまた生唾を飲む。手のひらが風で冷たい。

「帆華……」

ほのか、八木原帆華。あの頃の美波の全て。思春期を捧げたひと。秋風が吹いていて、光が降り注いでいた。視線と視線が絡みあい、どくりどくりと、また鼓動が早まった。背中に汗が滲んでて、美波の両手が握られる。声が出せない。緊張してて。帆華はそんな親友を見かねてか、桜色の唇を開いた。

「……美波ちゃん。大切な用事って?」

忘れられない思い出がある。良かれ、悪しかれ、忘れられない思い出が。光が、白が、海馬を刺激し、あの日を今に引き寄せていく。



カクテルの中の四角い氷が青色の鏡になって、バーの中の照明を美波の瞳に向けていた。カウンターの上に佇む空色のカクテルは、あの子の気配を思わせる甘い匂いを漂わせている。鼓動の頻度も体温も平常時より高まっていて、そして漏れた吐息によって水面が冷たく揺れていた。人生の中で、もう何度目になるだろう……、何度思い出して、噛み締めているのだろう。汗が、にじむ。

「う……」

美波は強く瞬きをして、紺色のスーツを纏った腕を動かした。高校の頃より白が強くなっている女の指でグラスを掴む。過去が人の心を作る。思春期時代に引きずられている。私はまだ子供でしかないのかもしれない。少なくとも私の半分ほどは。隣の席には、ハーフアップの女性がいて、柔らかなグレーのスーツ姿に女の色香を篭らせている。彼女の甘い声と匂いも美波の記憶を刺激していた。

「先輩。……あの、先輩?」
「あ……」

スーツの肩に触られる。不意をつかれ、声が漏れた。間抜けみたいで恥ずかしく、美波はすぐに表情を整えた。横に座る小柄な女性は、お酒に酔って赤らんでいて、まぶたを瞬きつつ美波の顔を覗いている。バーの雰囲気がふたたび意識に入ってくる。

ふたりが落ち着くバーの中は、BGMと談笑とグラスの音に満たされていた。美波と彼女は会社の先輩と後輩にあたるような関係であり、黒や紺やグレーのスーツが満ちている酒場の中では、背景の備品に溶けこむほどありふれた間柄である。ふたりの背後をウェイトレスが通り過ぎ、天井からの音楽が柔らかなピアノの独奏になる。美波が彼女を見下ろすと、大きな瞳に見つめられる。また、あの頃を、思い出しかけていた。

「先輩、先輩、……どうしました? 気分でも悪いんですか?」
「ううん……。ごめんなさい」

美波はなんとか応答をする。

「何だか、ぼんやりしちゃって。残業続きで疲れたのかな。書類をまとめて、課長のお小言も聞かされて……」
「……私の愚痴も、聞いてて疲れましたよね?」
「ううん。たぶん、仕事続きで疲れてただけ。伏島さんとのお話で、疲れるわけないじゃない」

美波は年長らしく落ち着いた笑みを向ける。

「でも、本当に、私ばかり相談に乗ってもらって」
「気にしないでいいの。あなたは私の可愛い後輩なんだから」

ここで、ふと、後輩の瞳を意識して、美波の口が戸惑うように言葉を止める。同時に美波は自分の言葉を振り返り、急に恥ずかしくなって、唾液を飲んで、グラスに向かい、落ち着いた声で話を続けた。

「……その。とにかく、先輩後輩なんていっても、年は近いし、友達みたいな関係だし。愚痴でも何でも、言ってくれていいの。オフィスの外では、気を遣わなくていいから」
「はい……、それなら、そうしてみます」

自分から口走った「可愛い」という表現が、振り返れば、振り返るほど、あまりにもうかつに感じられた。後輩が何かを察していないか、美波は不安にかられたが、彼女は自分の黄色いグラスを傾けていて、美波の言葉を探ることをしなかった。もう25歳なのに、もうすぐ主任に昇進するのに、些細な言葉にさえ臆病になる自分の心が脆弱で、とてもとても苦しくて、恥ずかしくもあり、先輩としての表情を保てなくなりそうだった。

「私って、わりあい、依存体質なんですよね……。世間知らずなところもありますし……」

後輩がそんなことを言うので、美波は明るくフォローを入れた。

「新人の頃って、企業文化に慣れてないし、悩みとか多くなるし、……だから、素直に周りに頼れるのはいいことだよ。適度に依存するのがいいの」
「……そういうものですか?」
「うん。だから頼って。女同士だし、親身になれると思うから」

後輩がどこか物憂げだ。らしくないと思ってしまった。普段の瑠花は明るくて可愛くて、学生のエネルギーをそのまま残すところがあるのだ。美波は彼女に流し込まれるカクテルを見る。火照る。可愛い。いけない。ああ。同じ女性に理解されない乙女心が、赤らむ頬にひどく反応させられている。3歳下の後輩の唇が、カクテルによってかすかに濡れる。綺麗で美味しそうだった。美波もグラスに口をつけ、お酒の味が舌の味蕾を刺激する。

アルコール、白い光、高まる感情、そして隣りの後輩の甘い気配が重なると、美波はどうしても昔のことを思い出してしまうのだった。唇があの日の感触を覚えている。熱く、そして、やわらかな。美波は後輩に視線を向けた。伏島さん。瑠花。ふせじまるか。伏島瑠花。下の名前で呼ぶ機会は殆ど無いが、可愛らしい名前だと美波は密かに思っている。可愛い名前の人が好き。女性は可愛いものだから。カクテルを飲みつつ、瑠花の姿を密かに眺める。

「先輩って、お見合いとかしたことありますか……?」
「無いかな。だって、私達の親世代までの文化でしょう」
「ですよね。……あの、それなら、結婚って、どうなんでしょう」
「どうって?」
「結婚って、したほうがいいんでしょうか……」

黒くてふわふわとした肩にかかるロングヘアー、ハーフアップを作り出す白くて清楚なデザインのクリップ、性格を表すような明るいグレーのレディーススーツ、銀色の腕時計、フレアスカート、黒い靴、肌色のストッキング。スーツの胸がふっくらと膨らんでいて、そこに視線が行くたびに、内側の世界を自然と想像してしまう。活動的で動きやすいショートヘアの美波に対し、フェミニンな魅力を満載にした瑠花の髪と服装は、軽い香水の中に漂うメスの香りもあいまって、美波の心を抗いがたい苦悩に導くのであった。

「結婚するかは自由じゃない。……伏島さんは、してみたいの?」
「いえ、先輩が、どう考えてるのか気になって……」
「私は、……分からないなぁ。結婚は、自分と相手が幸せになるためにするものだから……、したらいいとか、しちゃいけないとか、一言では言えないよ」

ああ、本当に、愛くるしい横顔……。薄い口紅の色が淡く乗った桜の口元、ムースのようにやわらかなメスの赤身が、会話の中で魅惑的に開いて閉じて運動していた。成熟した女性であり、女性であるがゆえに、女性としての性欲を持つ迎田美波は、後輩が漂わせる芳醇なフェロモンに刺激され、じんわりと身体に興奮の熱が染み渡り、ふたつ目の脳ともいうべき子宮がひどく疼いてしまう。

「伏島さんは、誰か、気になってる人がいるの?」
「……いえ、そういうわけじゃないんです。何か、私、変ですね。結婚する気もないのに、結婚の話なんて……」

そう言って瑠花は柔らかく微笑んだ。欲しい。だめ。欲しいなんて、思っては……。お互いに、不幸になるだけ。瑠花の高い声。真水のように透明な声。小柄な彼女が奏でる声は、どこか少女のようでありつつ、内容や呼吸には成人女性の芯もある。二重の魅力のカクテルなのだ。ふっくらした胸。見てはいけない。首筋も、指先も、赤らんだ?も、愛らしい眼差しも、見とれてしまったら魅了されて吸い込まれる。もう、とっくに、見とれていた。柔らかな女性の信号に心を奪われていると、叶わない欲望を抱いてしまうに違いない。でも、どうして、叶わないと決めつけるのか。でも、確率は、レズビアンの比率は高くない。現実。統計。数学。関係が変わってしまったら? 後輩を困らせたくない。今の空気を壊したくない。……臆病者。私は、今も、臆病者だ。過去が私を定義している。あの子の声が心に響く。

美波ちゃん。私ね、本当に、真剣に考えたんだけど……。

美波はグラスを唇に添え、落ち着いたビジネスウーマンを装いながら、明るい気持ちを取り戻すため、グラスをそっと傾けた。度数が高いカクテルだった。私はふたつめ、後輩はみっつめ、……感傷的になっているのは、アルコールのせいなのかもしれない。オフィスの美波は、冷静に仕事をこなしており、課長や部長も一目置く若手の有望株なのだ。恋愛感情と性的欲求に苦悩して、うじうじするのは、私じゃない。会社の中ではそういうことになっていた。

しかし、彼女は、オフィスビルの外にいる。お酒で自分を鼓舞しなければならなかった。もし、酔ったら、変なことを口走ってしまうかも……、いつも心に留めている考えも、今日ばかりは思いに流され、空色のカクテルで美波は喉を潤した。美波と瑠花は和やかに言葉を交わしている。お酒が進む。ファッションやドラマのことを話して、就業時間の何倍も早く時間を飲み干していく。気付けば瑠花は「えへへ」と笑い、嬉しそうに口元を月にして、酔いのためかゆらゆらと揺れながら、美波の方に甘えるようにしなだれかかる。驚いた。美波は瑠花を抱きとめて、ふらつく彼女に注意した。

「ちょっと、危ないよ。……ちゃんと座って」
「いやです……。先輩、抱きまくらみたいです……」

瑠花がさらに抱きついてくる。華奢な腕、大きな乳房、髪から漂う良い匂いと、赤らんで見上げる後輩の顔。だめ。潤んだ目元がゾクリとするほど性的で、美波の心が大いにかき乱されていく。

「駄目だって、ほらっ……」

耳まで赤くなりながらも、美波は気をしっかり保って、瑠花の肩を優しく前後に揺さぶった。瑠花が額を美波の胸にこすりつける。

「へッ……、もっ、もう、飲み過ぎ。……明日が休みだからって」
「だって……、私、寂しいんです。仕事で忙しくて、大学時代の友達ともリアルでは全然会えてなくて、話を聞いてくれるのは、美波先輩だけ……。帰っても、ひとりぼっち」
「ああ、もう……、分かったから。今日はそろそろお開きにしましょう。寂しいなら、また映画とか付き合ってあげるから」

瑠花は美波に抱きついたままじっと見上げ、両目をぱちぱちさせたあと、子供のように小さく頷き、美波の胸に顔をうずめる。柔らかくて暖かな毛髪が美波の手の甲のあたりにかかっていた。

「先輩、うれしい……」
「ちょっと、もう……、本当に酔っちゃって。大人なんだから飲酒量は管理しないと。私が男だったら、お持ち帰りされてたかもしれないよ? そんなに飲んで帰れるの?」
「ふぁい……、今度から、きをつけます」
「はぁ、まったく……」

なんて、呆れたふりをしてみるが、美波の心臓はバクバクと動いてて、絶え間ない女の色香が美波の理性を削るのだった。美波は瑠花に酔っていた。確かめることは出来ないが、美波の膣は濡れていたのかもしれない。愛らしさで母性を、妖艶さで雌性を、無意識に刺激してくるので抗うすべは何もない。美波の脳は、女の身体の、女の匂いの、美しさを知っていた。喜びの源泉であり、苦悩の根源でもあった。本当に綺麗な髪の毛。さらさらで、いいにおい。

この子はどこか、あの子に似ている。悪意のないスキンシップで、困らせてくることもそう。ノンケの子のスキンシップは、本当に罪づくりだ。どう反応すればいいのか分からなくなる。しかし美波は大人だった。平静をしっかり保ち瑠花の身体を持ち上げた。身体を支えてやりながら、赤らむ瑠花に質問する。