ロリ少女官能小説集:【その他の有料小説】(新規開拓枠)

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「百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜半」を発売しました。

百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)
百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)

奥手で処女な先輩社員が、新入社員の女の子に誘惑され、ひたすら濃密なレズビアンセックスをしたりされたりするようなお話です。愛撫が中心に据えられるセックスや、密度の高い比喩表現、散りばめられた恋愛描写などがこの作品の特徴です。鬼畜的な要素はありません。

先日「今までの路線と並行して、異なるタイプの作品にも挑戦していく」という趣旨の宣言をしました。今作はその第一弾となります。レズビアンものはおそらく売れ筋ではないのでしょうが、同性愛を中心に置くからこそ書けるものがあるので、利益を多少無視してでも、ちょっと書いておきたいという気持ちがありました。男女と女女では身体の絡みの構造が異なりますし、社会的な影響を抜きにしても性別による精神や嗜好の傾向差がありますから、精神的な関係性も異なってくるのです(その差異をどのように扱うか・扱わないかは作者の裁量なのですが)。売り上げがあまりに悪いということにならなければ、お姉さんと小さい子が絡むタイプのものも含めて、またちょくちょく書いていきたいところです。気に入って頂けたら、Amazonレビュー等で推薦していただけると嬉しいです。

それとは別に「執筆速度を上げたい」という旨のことも話しましたが、前作からおおよそ一ヶ月なので、執筆速度はそれほど上がっていませんね……(結局それなりの推敲を重ねることになりました)。強迫的な修正などにだけ注意して、月に1冊、出来れば2冊のペースを維持し、じっくり実力を養成しながら取り組んでいかなければならないようです。

次作は未定(たぶん鬼畜系)。小さい子専門の方にはちょっとお待たせするかもしれませんが、「私達を撮らないで」の方も徐々に進めていくつもりなので、気長に見守って頂ければ幸いです。

★★★

(※伏せ字はFC2ブログのNGワードによるものです。販売中の作品に伏せ字等はありません)

――後輩の指が、唇が、先輩の首と唇に触れ、蕩けるような快感に心奪われ濡れた性器が、吸われ、舐められ、擦られて、彼女は歓喜の吐息を漏らす。

※この作品には過激な官能表現が含まれますので、ご了承のうえお読みください。書籍の内容やジャンルについては以下の説明文をごらんください。

【基礎情報】
ジャンル:百合(レズビアン物)
全体的な作品傾向:和姦 百合 先輩と後輩 誘惑 20代前半 初体験
全体的な官能濃度:濃(直接的な性的描写が多めです)
全体的な鬼畜度:無(鬼畜要素はありません)
表記:横書き
備考等:女性キャラクター同士の恋愛と性行為を描く純粋な百合作品です(男性キャラクターとの性行為等はありません)。セックス描写はどちらかといえば濃厚です。

【属性とプレイ】
百合 レズビアン 社会人 先輩と後輩 和姦 恋愛 キス 舐め合い 触り合い クンニ クリ責め 指挿れ 乳首責め 思い出 処女喪失 初体験

【作品概要】
瑠花、るか、あの子の名前。なめらかな?と桜の唇。母性をくすぐる大きな瞳。懐に入る気さくな性格。首から下が綺麗な丸みを帯びていて、目を逸らすには甘すぎる女の色香を匂わせている。時折覗く胸元がゾクリとするほど艶めかしくて、あの子に見上げられるたび、美波は濡れて疼くのだった。今年の新入社員「伏島瑠花(22)」は、「迎田美波(25)」が指導する愛おしい後輩である。美波は瑠花を優しさの中で教育し、休日は一緒に映画を見るなどプライベートも共にしていた。だが、美波は、そこから先に踏み込めない。拒絶されることが怖くて、関係が崩れることが怖くて。……しかしある日、バーでお酒を飲んだあと、火照って顔を赤らめた瑠花が、美波の身体に抱きついてくる。後輩の指が、唇が、美波の首と唇に触れ、蕩けるような快感に彼女は心を奪われていた。柔らかな身体と身体が重なり合って混ざり合う。鼻と首、口と胸、指と陰核、足と肉裂。愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら溺れるふたりのからだのはなし。(小説本文の文字数:約58000字)

【目次】
・第1章 傾きかけた月の夜(約13000字)
内容:火照った瑠花が美波の身体に抱きついてくる。隠し続けた愛欲が漏れだして、美波はそして、唇を奪われた。
要素:思い出 飲酒 恋愛感情 キス 抱き合い 愛撫 驚き 予期せぬ誘惑

・第2章 先輩の身体、閉ざされたからだ(約21000字)
内容:瑠花は美波をベッドに寝かせ、裸同士で重なりあう。キス・撫で回し・クンニリングス、熱い身体が痺れだし……。
要素:回想 入浴 セックス キス ペッティング 全身キス 乳首責め クリ責め クンニ 指挿入 処女喪失 絶頂

・第3章 愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら(約10000字)
内容:???
要素:セックス 思い出 キス ペッティング クンニ 抱き合い クリ責め 指挿入 絶頂

・第4章 崩れる雲と蕩けあう日々(約14000字)
内容:???
要素:セックス 正常位 絡みあい 絶頂 日常 後日談 お出かけ キス ディープキス ペッティング 潮吹き


【登場人物】
●迎田美波(25):むかえだみなみ 後輩に惹かれる奥手な先輩
出版関係の企業に勤めるレズビアンの女性。身長は165センチ。胸は大きいとも小さいとも言えない程度。健康的な肉体と凛として美しい顔立ちが魅力的。艶のある長めのショートヘアをシンプルにまとめた髪型で、引き締まった肉体と実直そうな振る舞いが、真面目な彼女の性格を姿の上に表している。印象に違わず仕事をこなす若手の有望株であるが、性や恋には不器用であり、同性に欲求を打ち明けられず、今までの人生の中で性行為をしたことはない。色々な部位に性感帯がある敏感な身体をしているが、セックスをしたことがない彼女は、女性器以外の気持ち良さに気付いていないようである。最近は後輩に想いを寄せているようなのだが……。

●伏島瑠花(22):ふせじまるか 柔らかな身体の可愛い後輩
美波の後輩として働く小柄で可愛らしい女性。身長は153センチ。スーツを大きく盛り上げるほどふっくらとした胸元は、周囲の男性社員というより、美波の心をかき乱している。柔らかなボディライン、ふんわりとした髪で作られたロングヘアーのハーフアップ、なめらかな肌質が魅力的な女性だが、母性をくすぐる大きな目には少女の魅力も残されている。裕福な家庭に生まれ、淑女としての成長を期待され、中学から大学までを女子校の世界で過ごしていた。しかし両親の期待に反し、性経験はとても豊富で、女性同士の楽しみ方も楽しませ方も心得ている。就職からは忙しい毎日で全くエッチができておらず、個人的な悩みもあって、欲求不満が続いている。

●八木原帆華(当時17):やぎはらほのか 学生時代の美波の親友
中学から高校までを共に過ごした思春期時代の美波の親友。わずかに茶色が入った柔らかなロングヘアーで、バストやヒップの女性性が強く出るフェミニンな容姿をしている。身長は美波よりも一回りほど低かったが、明るく人懐っこい性格をしており、真面目で不器用なところもある美波を引っ張るような快活な人だった。彼女の容姿と性格は、偶然ながら、どこかで瑠花と似通っている。


【文章サンプル】
美波の恥じらう眼差しが、瑠花の伺う眼差しが、互いの視線や身体のエロスを探りあい、……熱い目線が、レズビアンの欲求が、ふたりの心と身体を強く強く惹きつける。エッチしたくてたまらない。美波の膣がひくついている。そして瑠花が、美波の身体に近づいて、両手でぎゅっと抱きついたので、美波も瑠花を抱きしめた。熱かった。お互いの身体が本気だった。自分も相手も女子だから、細かい仕草や表情にどれだけの性欲が隠れているか分かってしまう。私の身体が、瑠花に欲望されている。裸で欲情されることが、こんなに嬉しいことだとは思わなかった。小さな声で瑠花が言う。

「しましょうか……」
「うん……」

美波は小声で返答をした。首に熱い汗が流れた。

「最初は私が責めますね。先輩はまずセックスに慣れないと」
「……ええと、私は、何をすればいいの?」
「ベッドに横になって、気持ち良さそうにしててください。慣れてきたら、触ってくれると嬉しいです」

見上げながらそう言われ、美波は小さく頷き返す。とりあえずは「先輩」に、委ねた方が良いのだろう。オフィスでの威厳も何もなく、年下の乙女のように主導権を手放した。後輩の子に教えてもらうのは、大人の女として恥ずかしいような気がしたが、経験が豊富そうな瑠花に任せるほうが安心できるし……、玄関での激しい責めを、もう一度体験してみたいという気持ちもあった。

瑠花の声と手つきに促され、美波はベッドに仰向けで寝そべった。天井が見える。瑠花の肉が視界を覆う。固まる美波に瑠花が四つん這いで重なり、ふわふわで良い匂いのロングヘアーをしっとり垂らした。ハーフアップの髪留めは、外されたままらしかった。

「えへへ……」
「あ……」

メスの性的食欲が、燃え上がるように高まった。大きな胸、ピンク色に近い乳首、柔らかそうな二の腕、軽く赤らんだ耳、そして空から見下ろしてくるあどけなくて色っぽい後輩のメスの顔……。

「怖いこと、ないですから。……触りますね」

そうして嬉しそうに笑った瞬間、瑠花の桃色の唇が落ちてきて、今度は優しくキスが始まり美波も素直に受け入れた。ベッドがぎしぎしっと鳴る。ふたりぶんの体重がかかっている。何度も何度もキスが重なるフレンチキスが与えられて、瑠花の指が頬に触れ、唇を吸われつつ首元まで撫で回されて、キスが次第に濃密になり、恍惚とした美波は潤んだ両目を細めている。瑠花が美波に舌先をねじ込んで、舌先が絡みあい、舌の肉が擦れあい、唾液が混ざってふたりの口が吸い付きあう。美味しい。興奮する。瑠花の瞳も濡れている。赤と桃の唇が、それ自体でセックスするように、くっつきあい、密着しあい、もみくちゃになって、そして別れる。瑠花の口が美波の口から離れていき、耳の裏や首の裏を撫でられながら、ふたりのあいだで糸を引くメスの唾液に魅入られていた。



(※伏せ字はFC2ブログのNGワードによるものです。販売中の作品に伏せ字等はありません)

――後輩の指が、唇が、先輩の首と唇に触れ、蕩けるような快感に心奪われ濡れた性器が、吸われ、舐められ、擦られて、彼女は歓喜の吐息を漏らす。

【作品概要】
瑠花、るか、あの子の名前。なめらかな?と桜の唇。母性をくすぐる大きな瞳。懐に入る気さくな性格。首から下が綺麗な丸みを帯びていて、目を逸らすには甘すぎる女の色香を匂わせている。時折覗く胸元がゾクリとするほど艶めかしくて、あの子に見上げられるたび、美波は濡れて疼くのだった。今年の新入社員「伏島瑠花(22)」は、「迎田美波(25)」が指導する愛おしい後輩である。美波は瑠花を優しさの中で教育し、休日は一緒に映画を見るなどプライベートも共にしていた。だが、美波は、そこから先に踏み込めない。拒絶されることが怖くて、関係が崩れることが怖くて。……しかしある日、バーでお酒を飲んだあと、火照って顔を赤らめた瑠花が、美波の身体に抱きついてくる。後輩の指が、唇が、美波の首と唇に触れ、蕩けるような快感に彼女は心を奪われていた。柔らかな身体と身体が重なり合って混ざり合う。鼻と首、口と胸、指と陰核、足と肉裂。愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら溺れるふたりのからだのはなし。(小説本文の文字数:約58000字)

百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)
百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)

★★★

【第1章:傾きかけた月の夜】
授業終了のチャイムが鳴ると、迎田美波は早足でバッグも取らずに廊下に向かった。期待なんてしてはいけない。期待は失望の母親だから。他のクラスは既に授業を終えていて、同級生の賑やかな声達が混ざりながら耳の左右を抜けていく。しかし、どんな声も、全く耳に入らなかった。黒く美しいショートヘアが流れて揺れて、期待と不安と興奮が汗に溜まって雫となり、ひとつぶ、またひとつぶと、日焼けた頬に垂れていた。真っ白なハイソックスに守られた足が交互に歩み、歩速がぐんぐん高まって、心臓の鼓動が高鳴るとともに、彼女は赤くなっていた。彼女はいつもの迎田美波じゃなくなっていた。17歳の、熱を帯びた肉体だった。

部活によって引き締まった肉体美を備えた足は、紺のスカートに覆われつつも、歩くたびに素肌が見える。上履きが廊下を踏み、大勢の足音に小さな音をいくつも混ぜて、ベージュの制服セーターに包まれているその腕で駄弁る人混みを何度も何度もかき分けて、階段を下る生徒に逆らい、わずかに呼吸を早めつつ、美波は一段また一段と第二校舎の屋上に半ば駆けていくのであった。一段、二段、三段と、階段を登るたびに、下校する生徒達の話し声が遠くなり、美波が歩く速度もだんだんと落ち着いて、それなのに呼吸が次第に荒くなってくる。誰もいない屋上間近の踊り場にまでたどり着くと、ゼンマイが切れたかのように美波の足が固まった。

ふとももに汗が流れている。下着がお尻に張り付いている。黄ばんだ床のタイルの上で、すらりとした足で立ち尽くし、ハンカチで額の汗を拭き、上方に立ちはだかる屋上の扉に目を向けた。凛として美しい美波の顔が緊張のあまり紅潮していて、迷子になったかのように瞳がひどく潤っていて、二重まぶたの長いまつげが透明色の涙を含み、赤い唇のあいだから時折息を吐いていた。大切な日のために奮発したリップグロスで、美波の口元が美味しそうに艶めいている。整った鼻が、すっと辺りの空気を吸った。

先ほどまでうるさかった生徒達の話し声は、すでに鼓膜をくすぐる程度に弱まっている。屋上は誰にも邪魔されない場所だった。期待なんてしてはいけない。期待は失望の母親だから。息が漏れた。生唾が喉を通った。手のひらが濡れてきたので、ポケットの中のハンカチを握りしめた。ソフトボールの大会でバットを握った時だって、私の手のひらは、これほどまでには濡れてなかった。セーターの中のシャツが汗ばんでいて張り付いていて、ブラジャーもショーツも汗によって湿っている。身じろぎした。胸元の赤いリボンがかすかに揺れた。大きな瞳が揺れて迷い、汗ばんだ指が震えてて、階段の手すりをそっと握って、一段、もう一段、屋上へと登っていく。

あの子が、もし、本当に、あの子が先に来ていれば、屋上の扉の鍵は開いているはずだった。美波は階段を登りきり、呼吸を置いて、ドアノブを優しく回す。鍵がかかっていなかったので、中学からの親友が先に来ていると分かった。震える腕で扉を開ける。わずかな段差をそっとまたいだ。下着の汗に愛液が混ざり始めていたかもしれない。上靴の裏側が屋上の床を踏みしめた。

欄干の向こうには青空が敷かれていた。崩れて散らばる巻積雲が青に重なり薄く広がり、その下に立っているロングヘアーの女の子が、屋上のコンクリートに影を長く引いていた。制服のスカートと、彼女の毛先が揺れている。美波と同じ服を着て、同じ学年に所属している女の子。おそるおそるといった動きで美波が扉の外に出ると、背後の扉が自然に閉まり、人為的なその音でロングの女性が振り返る。茶色の、ふわふわの、良い香りのその髪が、秋の空気に誘われてわずかに東に流れていた。罪づくりなほど可愛らしい小柄な彼女のその顔が、困ったように、恥じらうように、破顔したので子宮が疼いた。美波は身体が熱くなるのを感じていた。ほのか。名前が、甘い名前が、神経細胞の愛欲を刺激する。

白い上履き、白いソックス、紺のスカート、ベージュのセーター、白いシャツ、赤いリボン、同じ制服を着ているのに、美波と彼女の美しさは全く異なる。美波の肌は日焼けしていて、彼女の肌は真っ白だ。引き締まってスレンダーな美波に対し、彼女の身体は胸が大きくボディラインが柔らかい。凛として大人びた美波の顔立ちに対し、大きな目元と小鼻が彩るあどけない彼女の目鼻立ち。美波の黒いショートと、彼女の茶色いロングヘアー。背が高い美波と、小さな彼女。同い年の女の子であるというのに、美波と彼女は異なる魅力を持っていた。美波はまた生唾を飲む。手のひらが風で冷たい。

「帆華……」

ほのか、八木原帆華。あの頃の美波の全て。思春期を捧げたひと。秋風が吹いていて、光が降り注いでいた。視線と視線が絡みあい、どくりどくりと、また鼓動が早まった。背中に汗が滲んでて、美波の両手が握られる。声が出せない。緊張してて。帆華はそんな親友を見かねてか、桜色の唇を開いた。

「……美波ちゃん。大切な用事って?」

忘れられない思い出がある。良かれ、悪しかれ、忘れられない思い出が。光が、白が、海馬を刺激し、あの日を今に引き寄せていく。



カクテルの中の四角い氷が青色の鏡になって、バーの中の照明を美波の瞳に向けていた。カウンターの上に佇む空色のカクテルは、あの子の気配を思わせる甘い匂いを漂わせている。鼓動の頻度も体温も平常時より高まっていて、そして漏れた吐息によって水面が冷たく揺れていた。人生の中で、もう何度目になるだろう……、何度思い出して、噛み締めているのだろう。汗が、にじむ。

「う……」

美波は強く瞬きをして、紺色のスーツを纏った腕を動かした。高校の頃より白が強くなっている女の指でグラスを掴む。過去が人の心を作る。思春期時代に引きずられている。私はまだ子供でしかないのかもしれない。少なくとも私の半分ほどは。隣の席には、ハーフアップの女性がいて、柔らかなグレーのスーツ姿に女の色香を篭らせている。彼女の甘い声と匂いも美波の記憶を刺激していた。

「先輩。……あの、先輩?」
「あ……」

スーツの肩に触られる。不意をつかれ、声が漏れた。間抜けみたいで恥ずかしく、美波はすぐに表情を整えた。横に座る小柄な女性は、お酒に酔って赤らんでいて、まぶたを瞬きつつ美波の顔を覗いている。バーの雰囲気がふたたび意識に入ってくる。

ふたりが落ち着くバーの中は、BGMと談笑とグラスの音に満たされていた。美波と彼女は会社の先輩と後輩にあたるような関係であり、黒や紺やグレーのスーツが満ちている酒場の中では、背景の備品に溶けこむほどありふれた間柄である。ふたりの背後をウェイトレスが通り過ぎ、天井からの音楽が柔らかなピアノの独奏になる。美波が彼女を見下ろすと、大きな瞳に見つめられる。また、あの頃を、思い出しかけていた。

「先輩、先輩、……どうしました? 気分でも悪いんですか?」
「ううん……。ごめんなさい」

美波はなんとか応答をする。

「何だか、ぼんやりしちゃって。残業続きで疲れたのかな。書類をまとめて、課長のお小言も聞かされて……」
「……私の愚痴も、聞いてて疲れましたよね?」
「ううん。たぶん、仕事続きで疲れてただけ。伏島さんとのお話で、疲れるわけないじゃない」

美波は年長らしく落ち着いた笑みを向ける。

「でも、本当に、私ばかり相談に乗ってもらって」
「気にしないでいいの。あなたは私の可愛い後輩なんだから」

ここで、ふと、後輩の瞳を意識して、美波の口が戸惑うように言葉を止める。同時に美波は自分の言葉を振り返り、急に恥ずかしくなって、唾液を飲んで、グラスに向かい、落ち着いた声で話を続けた。

「……その。とにかく、先輩後輩なんていっても、年は近いし、友達みたいな関係だし。愚痴でも何でも、言ってくれていいの。オフィスの外では、気を遣わなくていいから」
「はい……、それなら、そうしてみます」

自分から口走った「可愛い」という表現が、振り返れば、振り返るほど、あまりにもうかつに感じられた。後輩が何かを察していないか、美波は不安にかられたが、彼女は自分の黄色いグラスを傾けていて、美波の言葉を探ることをしなかった。もう25歳なのに、もうすぐ主任に昇進するのに、些細な言葉にさえ臆病になる自分の心が脆弱で、とてもとても苦しくて、恥ずかしくもあり、先輩としての表情を保てなくなりそうだった。

「私って、わりあい、依存体質なんですよね……。世間知らずなところもありますし……」

後輩がそんなことを言うので、美波は明るくフォローを入れた。

「新人の頃って、企業文化に慣れてないし、悩みとか多くなるし、……だから、素直に周りに頼れるのはいいことだよ。適度に依存するのがいいの」
「……そういうものですか?」
「うん。だから頼って。女同士だし、親身になれると思うから」

後輩がどこか物憂げだ。らしくないと思ってしまった。普段の瑠花は明るくて可愛くて、学生のエネルギーをそのまま残すところがあるのだ。美波は彼女に流し込まれるカクテルを見る。火照る。可愛い。いけない。ああ。同じ女性に理解されない乙女心が、赤らむ頬にひどく反応させられている。3歳下の後輩の唇が、カクテルによってかすかに濡れる。綺麗で美味しそうだった。美波もグラスに口をつけ、お酒の味が舌の味蕾を刺激する。

アルコール、白い光、高まる感情、そして隣りの後輩の甘い気配が重なると、美波はどうしても昔のことを思い出してしまうのだった。唇があの日の感触を覚えている。熱く、そして、やわらかな。美波は後輩に視線を向けた。伏島さん。瑠花。ふせじまるか。伏島瑠花。下の名前で呼ぶ機会は殆ど無いが、可愛らしい名前だと美波は密かに思っている。可愛い名前の人が好き。女性は可愛いものだから。カクテルを飲みつつ、瑠花の姿を密かに眺める。

「先輩って、お見合いとかしたことありますか……?」
「無いかな。だって、私達の親世代までの文化でしょう」
「ですよね。……あの、それなら、結婚って、どうなんでしょう」
「どうって?」
「結婚って、したほうがいいんでしょうか……」

黒くてふわふわとした肩にかかるロングヘアー、ハーフアップを作り出す白くて清楚なデザインのクリップ、性格を表すような明るいグレーのレディーススーツ、銀色の腕時計、フレアスカート、黒い靴、肌色のストッキング。スーツの胸がふっくらと膨らんでいて、そこに視線が行くたびに、内側の世界を自然と想像してしまう。活動的で動きやすいショートヘアの美波に対し、フェミニンな魅力を満載にした瑠花の髪と服装は、軽い香水の中に漂うメスの香りもあいまって、美波の心を抗いがたい苦悩に導くのであった。

「結婚するかは自由じゃない。……伏島さんは、してみたいの?」
「いえ、先輩が、どう考えてるのか気になって……」
「私は、……分からないなぁ。結婚は、自分と相手が幸せになるためにするものだから……、したらいいとか、しちゃいけないとか、一言では言えないよ」

ああ、本当に、愛くるしい横顔……。薄い口紅の色が淡く乗った桜の口元、ムースのようにやわらかなメスの赤身が、会話の中で魅惑的に開いて閉じて運動していた。成熟した女性であり、女性であるがゆえに、女性としての性欲を持つ迎田美波は、後輩が漂わせる芳醇なフェロモンに刺激され、じんわりと身体に興奮の熱が染み渡り、ふたつ目の脳ともいうべき子宮がひどく疼いてしまう。

「伏島さんは、誰か、気になってる人がいるの?」
「……いえ、そういうわけじゃないんです。何か、私、変ですね。結婚する気もないのに、結婚の話なんて……」

そう言って瑠花は柔らかく微笑んだ。欲しい。だめ。欲しいなんて、思っては……。お互いに、不幸になるだけ。瑠花の高い声。真水のように透明な声。小柄な彼女が奏でる声は、どこか少女のようでありつつ、内容や呼吸には成人女性の芯もある。二重の魅力のカクテルなのだ。ふっくらした胸。見てはいけない。首筋も、指先も、赤らんだ?も、愛らしい眼差しも、見とれてしまったら魅了されて吸い込まれる。もう、とっくに、見とれていた。柔らかな女性の信号に心を奪われていると、叶わない欲望を抱いてしまうに違いない。でも、どうして、叶わないと決めつけるのか。でも、確率は、レズビアンの比率は高くない。現実。統計。数学。関係が変わってしまったら? 後輩を困らせたくない。今の空気を壊したくない。……臆病者。私は、今も、臆病者だ。過去が私を定義している。あの子の声が心に響く。

美波ちゃん。私ね、本当に、真剣に考えたんだけど……。

美波はグラスを唇に添え、落ち着いたビジネスウーマンを装いながら、明るい気持ちを取り戻すため、グラスをそっと傾けた。度数が高いカクテルだった。私はふたつめ、後輩はみっつめ、……感傷的になっているのは、アルコールのせいなのかもしれない。オフィスの美波は、冷静に仕事をこなしており、課長や部長も一目置く若手の有望株なのだ。恋愛感情と性的欲求に苦悩して、うじうじするのは、私じゃない。会社の中ではそういうことになっていた。

しかし、彼女は、オフィスビルの外にいる。お酒で自分を鼓舞しなければならなかった。もし、酔ったら、変なことを口走ってしまうかも……、いつも心に留めている考えも、今日ばかりは思いに流され、空色のカクテルで美波は喉を潤した。美波と瑠花は和やかに言葉を交わしている。お酒が進む。ファッションやドラマのことを話して、就業時間の何倍も早く時間を飲み干していく。気付けば瑠花は「えへへ」と笑い、嬉しそうに口元を月にして、酔いのためかゆらゆらと揺れながら、美波の方に甘えるようにしなだれかかる。驚いた。美波は瑠花を抱きとめて、ふらつく彼女に注意した。

「ちょっと、危ないよ。……ちゃんと座って」
「いやです……。先輩、抱きまくらみたいです……」

瑠花がさらに抱きついてくる。華奢な腕、大きな乳房、髪から漂う良い匂いと、赤らんで見上げる後輩の顔。だめ。潤んだ目元がゾクリとするほど性的で、美波の心が大いにかき乱されていく。

「駄目だって、ほらっ……」

耳まで赤くなりながらも、美波は気をしっかり保って、瑠花の肩を優しく前後に揺さぶった。瑠花が額を美波の胸にこすりつける。

「へッ……、もっ、もう、飲み過ぎ。……明日が休みだからって」
「だって……、私、寂しいんです。仕事で忙しくて、大学時代の友達ともリアルでは全然会えてなくて、話を聞いてくれるのは、美波先輩だけ……。帰っても、ひとりぼっち」
「ああ、もう……、分かったから。今日はそろそろお開きにしましょう。寂しいなら、また映画とか付き合ってあげるから」

瑠花は美波に抱きついたままじっと見上げ、両目をぱちぱちさせたあと、子供のように小さく頷き、美波の胸に顔をうずめる。柔らかくて暖かな毛髪が美波の手の甲のあたりにかかっていた。

「先輩、うれしい……」
「ちょっと、もう……、本当に酔っちゃって。大人なんだから飲酒量は管理しないと。私が男だったら、お持ち帰りされてたかもしれないよ? そんなに飲んで帰れるの?」
「ふぁい……、今度から、きをつけます」
「はぁ、まったく……」

なんて、呆れたふりをしてみるが、美波の心臓はバクバクと動いてて、絶え間ない女の色香が美波の理性を削るのだった。美波は瑠花に酔っていた。確かめることは出来ないが、美波の膣は濡れていたのかもしれない。愛らしさで母性を、妖艶さで雌性を、無意識に刺激してくるので抗うすべは何もない。美波の脳は、女の身体の、女の匂いの、美しさを知っていた。喜びの源泉であり、苦悩の根源でもあった。本当に綺麗な髪の毛。さらさらで、いいにおい。

この子はどこか、あの子に似ている。悪意のないスキンシップで、困らせてくることもそう。ノンケの子のスキンシップは、本当に罪づくりだ。どう反応すればいいのか分からなくなる。しかし美波は大人だった。平静をしっかり保ち瑠花の身体を持ち上げた。身体を支えてやりながら、赤らむ瑠花に質問する。
(※伏せ字はFC2ブログのNGワードによるものです。販売中の作品に伏せ字等はありません)

――後輩の指が、唇が、先輩の首と唇に触れ、蕩けるような快感に心奪われ濡れた性器が、吸われ、舐められ、擦られて、彼女は歓喜の吐息を漏らす。

【作品概要】
瑠花、るか、あの子の名前。なめらかな?と桜の唇。母性をくすぐる大きな瞳。懐に入る気さくな性格。首から下が綺麗な丸みを帯びていて、目を逸らすには甘すぎる女の色香を匂わせている。時折覗く胸元がゾクリとするほど艶めかしくて、あの子に見上げられるたび、美波は濡れて疼くのだった。今年の新入社員「伏島瑠花(22)」は、「迎田美波(25)」が指導する愛おしい後輩である。美波は瑠花を優しさの中で教育し、休日は一緒に映画を見るなどプライベートも共にしていた。だが、美波は、そこから先に踏み込めない。拒絶されることが怖くて、関係が崩れることが怖くて。……しかしある日、バーでお酒を飲んだあと、火照って顔を赤らめた瑠花が、美波の身体に抱きついてくる。後輩の指が、唇が、美波の首と唇に触れ、蕩けるような快感に彼女は心を奪われていた。柔らかな身体と身体が重なり合って混ざり合う。鼻と首、口と胸、指と陰核、足と肉裂。愛情と肉欲とシーツの海にぬめりながら溺れるふたりのからだのはなし。(小説本文の文字数:約58000字)

百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)
百合と百合が蕩けあう夜 レズビアンな後輩と真面目で奥手な先輩が吸って舐めて撫であって、愛欲と快楽に乱れながらとろとろになって溺れる夜 (YK百合レズビアン文庫)

★★★

「一人で帰れる?」
「んんと……、たぶん……」
「多分って……、多分じゃ心配ね……」

瑠花は祖父が所有するタワーマンションの一室を貸してもらって生活している。防犯設備はかなりのものだが、帰宅には少々時間がかかる立地であるため、トラブルの心配は美波の胸に募るばかりだ。泥酔というほどではないが、身体がふわふわふらついており、一人きりで帰したあと怪我でもしないか不安になった。杞憂かもしれないが、犯罪に巻き込まれる可能性も捨てられない。こんなに可愛らしい女性が注意力を失って夜道をふらふらしていたら。それも、こんな風に、良い匂いをさせながら。美波は水を注文し、瑠花の口に飲ませてやる。……要するに、それだけ、美波は瑠花を気にかけていた。瑠花が春に入社して、美波が先輩として指導に当たるようになってから、瑠花よりも大事なものが一つもなくなってしまった。この子は私を先輩としか思ってないのに。部署が変われば疎遠になるかもしれない程度の関係なのに。

「伏島さん、うちに泊まる?」
「んー……?」
「タクシーを使えばそんなに時間もかからないから」

瑠花の肩がぴくっとする。

「……えっ。先輩の家。いいんですか?」
「どうせ明日は休みだし、たまにはいいんじゃない」

瑠花は両目をぱちくりさせて、少し笑ったような気がして、ただ素直に頷くことで美波の家に行くことに同意した。

「先輩の、家……」

瑠花が噛みしめるように呟いている。バッグを取り、会計を済ませ、瑠花に肩を貸しながら、バーの出口に歩いていった。ドアノブをひねり、扉を押し開けていくと、カランカランとドアチャイムが鳴り響き、冷たい空気がやってきた。火照った身体がわずかばかり冷やされた。バーの前は人通りが少なくない夜の街路で、店や街灯の黄色や白の照明で星の光がかき消されていた。しかし真珠のように浮かんでいる月だけは、常に変わらず、夜の空を登っていた。雑踏のざわめき。瑠花の身体がぶるっと震える。

「ちょっと、寒いですね……」
「もうすぐ冬だから、寒くなってきてるのね」

そう言って美波が瑠花を見ると、酒のせいか、あるいは何かのせいなのか、瑠花の瞳が熱を帯びて潤っていた。その瞳を見たせいで、美波は寒さを感じなかった。吸い込まれる眼差し。もうひとつの月なのだ。黒い瞳が挑発的だ。大きな胸も、甘い匂いも。しかし美波は狼になるつもりはなく、綺麗な月を眺めるだけで満足なのだと決めていた。瑠花が美波の顔を見上げる。

「でも、ふたりだと、少しだけあったかいです……」

美波は何も返せなかった。ふたりはタクシー乗り場へと足を進める。隣の瑠花に、心臓の音が漏れていないか、不安になるほど鼓動が速くなっていた。

「……私、美波先輩が先輩で良かったです。他の人は、こんなに優しくしてくれないので……」
「まさか。伏島さんなら、誰でも優しくしてくれるよ……。たまたま、縁に恵まれてないだけで」

瑠花は美人だ。相手ならいくらでもいるだろう。この子もいつか、誰かと結婚するのだろうか。男性に恋をして、男性の子供を産むのだろうか。夜空を見ると落ち着いた。落ち着かないといけなかった。今の関係だって全く悪くないのだから。幸せなことだ。可愛い後輩に慕われているなんて。どれだけの女性が、どれだけの男性が、部下との関係で苦労しているかを思えば。……先輩と後輩で、友達のような関係でいい。また、前みたいに、映画でも見に行って、デート気分を味わえたらいいなと思った。タクシー乗り場は思いのほか空いていて、停車していたタクシーにすぐに乗り込むことが出来た。美波と瑠花は後部座席で密着していた。

身を寄せ合った10分間、美波の身体はどんどん熱くなっていた。いけない、いけないと、何度も思っていたのだが、ヒトの自然な性欲は抑えることが出来なかった。美波は軽く汗ばんでいた。粘膜のあいだには、愛液が滲んでいたかもしれない。肌色のストッキングに包まれていた足が蒸れていた。子宮が瑠花を欲望していた。

同じ部署に瑠花が配属されたときから、美波は瑠花を可愛いと思っていた。歓迎の飲み会でも意気投合していたのだ。童顔な輪郭も、小柄な身体も、心の懐に潜り込んでくるような気さくな性格も、可愛かった。……本音を言えば、お尻や胸も、柔らかそうで情欲をそそられた。周りの男性社員もそう思っていたようで、アプローチをかけられているところを何度も何度も見ていたが、苦手なのか、興味がないのか、誰の誘いも受けてはいないようだった。性や恋愛の欲求が少ないのだろうと心の中で結論していた。ヒトの欲望は個人差が大きいのである。あるいは、無理にでも、そう考えて、自分の心を抑えなければならなかった。期待なんてしてはいけない。期待は失望の母親だから。甘い果実ほど手に入らないものなのだ。

いつのまにか、美波が住む賃貸マンションについていた。建築から30年の独身者向け住宅である。五階建ての平凡な作りであり、茶色い壁は細かい汚れを隠していたが、落ち着きすぎた色合いが昭和の香りを纏っている。美波よりも、瑠花よりも、年上の建物だ。エレベーターは存在せず、設置する費用もない。

タクシーの代金を支払うと、最初に美波が降車して、次に瑠花が道路に降りた。美波は肩を貸そうとしたが、瑠花はそれを断った。だんだん酔いが覚めてきて、足取りも前よりしっかりしていた。

「本当に大丈夫?」

美波は重ねて尋ねていた。

「なんとか……。飲ませてもらった水が効いてきたのかもしれません」
「……そう。それならいいけど。階段があるから、転ばないようにね。私の部屋は3階だから。……ここ、無いのよね、エレベーター。家賃は悪くないんだけど」

美波は瑠花を先導し、マンション自体の入口を抜けて、入口付近の階段にまでやってくる。先ほどの興奮でショーツがしっとり濡れていたので、変な匂いでもしていないか美波は不安で仕方なかった。これはもう、我慢の限度を超えている。瑠花がベッドで眠りについたら、自分で処理しないといけないかもしれない。

「手すりもないんですね」
「気をつけて」

マンションの階段を一段一段登っていく。今度は瑠花が先頭で、美波は後ろで見守っていた。後方への転倒などの万が一を考えていたのだが、瑠花はスムーズに階段を登っていて、つまずく気配は全くない。美波が抱いた瑠花に対する心配は、結局杞憂だったのだろう。もちろん、だからといって、自宅に招いたことを後悔するはずもないのだが。3階に到着すると、美波は再び瑠花に対して先行し、305号室にまでやってきて、ポケットの中の財布から自宅のキーを取り出した。鍵を開けて扉を開いた。真っ暗な美波の自室。美波が先に入り、瑠花が続いて、そのまま鍵とドアガードをかけていた。そして熱っぽい声で、瑠花が美波に言葉を漏らす。

「ねぇ、先輩……」
「どうしたの?」
「私、もう、熱くて……、先輩に、呼ばれてから……」
「……?」

美波は壁を探っていた。真っ暗な部屋に光を取り戻すため、蛍光灯のスイッチを探しているのである。スイッチを押すと、狭い玄関が明るくなり、短い廊下の向こうにある美波の自室がぼんやり見えた。美波は靴を脱ぎ、ストッキングを履いた足でフローリングの廊下に立ち、靴を脱いだばかりであろう瑠花の方に視線を向けるが、……頬を真っ赤に染めた瑠花は、別の酔いに脳が支配されていた。妖艶な目つきで美波を見ながら、美波の頬にそっと触れ、吐息を含んだメスの声で囁くように言うのである。

「先輩の肌、あったかい……。ねえ、もう、いいですよね……?」
「伏島、さん……? 本当にどうしたの……?」
「だって、そういう意味で、誘ったんじゃないんですか?」
「……?」
「……先輩って、……女の子のほうが、好きですよね?」

ぞくっとした。そしてそれは、寒気というより快感だった。
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